香川県出身の画家・猪熊弦一郎(1902~1993)と東京の老舗画材店がデザインしたダイニングテーブルセットが、40年の時を超えて復刻した。制作を担ったのは、猪熊の出身地で170年以上の歴史を持つ家具専門店「中村谷(なかむらや)」。猪熊らの思いを引き継いだ家具が、高松市内にある同店で販売されている。
東京・銀座にある老舗画材店「月光荘」は、日本で初めて純国産の絵の具を開発した。創業者の橋本兵蔵さんと猪熊は親友で、月光荘のスケッチブックやポストカードなどをともにデザインしていたという。
その延長で作られたのが、このテーブルセットだ。遅くとも1950年ごろには販売を開始し、橋本さんの自宅ではもちろん、個人宅や学校などで使われていたという。
しかし、職人の高齢化に伴い、約40年前に販売中止となっていた。橋本さんの孫で、月光荘の現店主である日比康造さん(49)は「自分はこの机と椅子で育ってきた。いつか復刻させたいとずっと思っていた」と話す。
知人の紹介で知り合った中村谷社長の中村谷威之(たけし)さん(45)に制作を依頼し、今回の復刻が実現した。
当時の正確な図面は残ってい…